血とあなたと
鮮血に彩られた月が不気味なまでに煌々と輝く。
ナイフの刃がキラリと輝くのと同じ危さを孕んだ冴えた輝きだった。
(気味が悪い月)
昔、母親に教えられた赤い月の話。
「赤い月からは魔物がやってくる。魔物に食べられちゃうのよ、ね」
フ、と口元を緩めた。今は亡き母との数少ない思い出。
幼い頃に刷り込まれた怖い記憶というのはその恐怖を誇張したまま覚えているもので、
恐怖を感じなくなった今でも生理的に嫌いだった。
赤は、愛とか情熱とかのイメージより圧倒的に血を連想させる。
そもそも、赤とは人間に警戒、異常を抱かせる色ではなかったか。
救急車のランプ
火災報知機
ポストが赤いのは・・・よくわからない。
警察も消防車も入れとくとして、他に赤くて異常なもの。
「アイツ、」
とっておきの赤いのがいるじゃないか。
傍若無人なサディストでそれこそ血で染め上げたような赤髪の男。
そして幾度となく、血を見せられた相手。
その血をヴァンパイアみたく美味しそうに舐め上げる仕草は異常だとさえ思った。
きっとヒトの皮を被った魔物なのだ。
あのレノ、という男は。
―――ドンドンッ
静寂に包まれた部屋を切り裂いたノックは狂宴の合図だった。
ノックというには乱暴なそれにドアが叩き壊されない内に開けよう。
ソファに沈んですっかり惰性した体を動かして鍵を開けた。
「やぁやぁロッド君」
魔物が、来てしまった。
家主よりも横柄な態度の来客はずかずかと部屋に侵入した。
「何しに来たんだよ」
この男に会うと血を見ない日は無い。
その血が他人の物だったり、俺の物だったり、はたまたレノの物であったりする時もある。
今日はどうやら、俺が血を見る目になりそうだ。
「今日は気分が良いから、ロッドと遊ぼうと思ってな、と」
俺と、じゃなくて俺で、だろ。
そう発するはずだった声はレノの唇に奪われた。
息を継ぐ間も無く、唇を重ねられて言葉を紡がせない。
「どうやって遊んで欲しいかな、ロッド」
魔物。いや、悪魔の笑みを浮かべて彼は俺を蹂躙した。
無理矢理挿入された秘所から流れ出す血の熱さと
中で暴力を振るうソレも同じくらい熱くて、熱に浮かされたみたい。
「は・・やく、イ・・・けっ」
「オイオイ、もっと可愛い事言ってみろよ」
「ッ・・・・い・・てぇんだよっ」
「下の口は俺に従順で可愛いですね、と」
レノは途端に緩慢だった腰の動きを速めて俺を追い詰める。
秘所がぐちゅぐちゅと水音を立てるのに耳を塞いでしまいたいが、
その手はネクタイに拘束されて思うようには出来なかった。
「こ・・・の・・・サド」
「こうされて喜んでるロッドはマゾだろ、と」
「違う・・・!!」
「前もこんなに濡らしといて違うはねぇだろ」
ククク、と喉で笑った声が耳元で聞こえた。
その息が耳にかかるくすぐったさに身を捩れば、執拗に追ってくる。
「イッ・・・・!!」
突如、耳に走った激痛に悲鳴を上げる。
ジグジグと痛む耳が噛まれたのだと、脳に理解させた。
こめかみを流れる血の感触が傷の具合を思わせた。
「逃げんなよ、と。夜は長いぜ」
「死ね」
レノを受け入れている所と、噛まれた耳が熱くて熱くて熔けてしまったみたい。
毒が回ったみたいに熱い血が全身を巡って意識もぶっ飛んでしまいそう。
「はっ・・・は、気・・・持ち・・・わりぃ・・ッ」
目がぐるぐる回って余りの気持ち悪さに涙が出る。
後ろから犯されてたのが幸いかな。こんな顔見られなくて済むんだから、
閉まらない口からは唾液が零れ、涙でぐちゃぐちゃの顔なんて見れたモンじゃない。
「レノ・・・も、死にそう」
「何?泣いてるんですか、と」
「・・・・・・・・」
「なぁ、こっち向けよ」
そんな声を聞いたのを最期に意識は飛んで、無意識に喘ぎ声だけが延々と零れた。
目が覚めるとまだ薄暗い夜明け。
月は薄くなり、ぼんやりと輪郭を残すのみだった。
全身が棒になったしまったみたいに動かない。
痛いとか、ダルイとかそんなのばっかり頭を巡る。
あの後、どうなったのかよくわからない、
どうせレノの思う通りの痴態を晒したに違いないけれど。
赤い悪魔はもう帰っただろう。
矢張り、あの男は血に飢えた悪魔なのだ。
鮮血を求めて人と人の間を彷徨う。
昨日が偶偶俺だっただけで、今日はまた違う誰かの血を吸う。
酷い人だと知ってた。
魔物に喰われた獲物は亡骸を捨てられる。
「大嫌いだ」
溢れた涙も血と同じ熱さだった。
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最初「司晶さまのリク」の話を書いてたはずなのに、
修復不可能なデッドゾーンに突入。爆死。
シリアス?ただの鬼畜エロでした。
最後は甘く?ロッド置いてかれてます。
これは、もう他の作品としてアップしよう。
そう心にきめました。(´∀`)
貢物予定だったのでロッドになってます。
というかこれを捧げようとしてた自分が怖い。バカだ・・・。
赤く見える月ってまぁ別に怪奇現象でもなんでもないですがSUKI
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