Be a darling
「思い出に形なんかいらない」
言い続けてさて幾月幾日幾時間。
「いいから撮ろうぜ、な?」
言われて容易に幾許もなく。
ぐらり、傾いた心境の変化は果たして何処からもたらされたものだろう。
わからないけれど確かに、
「写真」
ぐらり、
傾いた。
Be a darling
三脚はしっかりと大地に根を張っていた。例え主人が不在であろうと雨風に屈することなど決してないと意気込んで、立っていた。それが妄想でないのは、彼もしくは彼女が載せたカメラが確かに微動だにしていないからだ。
少々古びたその頑固者、恐らく主人に瓜二つ。
赤い髪の、若干色味の暗い方、被写体を強要した彼もまた頑固者の一端だった。
「そういうところはあんたにそっくりだと思う」
「そう言うなよ」
せっせと準備に取り掛かるロッド、取り掛かられるカメラに躯の向きを固定、しかし青空色の瞳は恨めしいとばかりに隣人に剥いた。
これから形になる思い出の中に含まれるザックス。視線の先で苦笑が滲む。
「俺だって無理矢理連れてこられたんだって」
「ノリノリだったくせに」
「…面目ない」
嘆息がせめて元凶に届けばいい。
レンズ越しにかち合うロッドに投げ掛けた儚い願いは、さて。赤い髪の、若干色味の明るい方の嗾けた揶揄に敢えなく吹き飛ばされてしまったようだ。
「でもさ、クラウド」
仰いだ先にあったのが思いの外に青い瞳で少し、ほんの少しだけ、心臓が跳ねた。
動揺などでは決してない。ないはずだ。
「よかったよ」
「何、が?」
「クラウドは、思い出に形なんかいらないってよく言うけど」
瞼が焼ける気配はそう、
「クラウドとの時間を、俺は切り取って残したいから」
逆光のせいだと信じたい。
「…馬鹿だな。時間なんて切り取れない」
「うん」
「思い出なんて寂しいだけだ。いつかなくなるときのための悪足掻きだ」
「そうかもしれない、でも」
「おーい、撮るぜー!」
いよいよ主人の手から離れたカメラは自らの力でシャッターチャンスを狙い始めた。気紛れなもので何時下りるともわからない装置は瞬きひとつ許さない。屏息なんて窮屈でいけない。
転ぶなよ、誰が転ぶか、レノとロッドの会話が遠い。現に意識は遥か彼方へ飛んでいっていたのかもしれない。
切り取られる四人の思い出はいつかばらばらに砕けてしまうのだろうか。
訪れる寂寥感が恐くて写真なんか撮らずにいた。
でも、
「クラウド」
「え、」
許さないと釘打たれた身動きさえ打ち破れる人がいる。
隣にいる。いてくれる。
それだけでもう、どうでもよかった。
シャッターが下りる。唇が触れ合う刹那のことだった。
「でも、一緒にいたんだって証を残したいと思ったんだ」
いつかこの思い出が壊れる日へ。
Be a darling
END.
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これでこそザックラだよね!と叫びたいほどに
理想のザックラ貰った!
この写真をちゃんと全員が大事に持ってたりすると
すごいいいな、とか思うw
ザックラのキス写真がとれたに、違いない!
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