遺忘エモーション


「忘れたいのに忘れられないことと
覚えていたいのに忘れてしまうこと
どっちの方が辛いかな」

それは誰に聞かせるでも無く呟いたようだったので
よしんば聞こえてしまったとしても返事をすべきかどうなのかレノは考えてしまった
レノが悩んだのは、最も、それだけが理由ではなかった

「昨日、楽しいと思った事、今日悲しかった事、
ううん、もっと大事な思い出、タークスに入った事、人を殺めた事、
出会ってきた人、別れていった・・・人、
レノと出会った事、愛した事」

ロッドは相変わらず、何処か遠くを見つめている
俺の事を思い、少なからず歓喜させる様な、滅多に言わない事を口にしながらも
それはとても俺愛しく思っているとは思えない程に虚ろ

「全て、覚えていたい、けれど、覚えていたくない事も、少なからずある」

そうして漸く振り向いた彼の眼は相変わらず空虚
俺を見つめて、フラフラと近寄るとソファに腰掛けていた俺の首に腕を回して抱きつく
どうしたというのだ、このガキみたいな甘え方(実際ガキなのだが)
なるべく対等でありたいと願う彼はこうして甘える様な態度は滅多に見せない
俺がそれを記憶しているのは彼がマイッている時に数度あった位で

(と、なると今炯はマイッているという事だろうか)

ギュウ、とらしくなく繊細な感で力を込められて俺は更に驚く

「覚えていたいのに忘れてしまう事もあって、忘れてしまいたいのに覚えている事もある」

辛い・・・・
そうポツリと最後に呟いた言葉は、愚痴はいえども弱音を吐かない彼の行動としては余りにも似つかわしくない
いっそこっちが吐き気がする程に今日の彼はしおらしくてレノは顔を顰める
なんだ、一体、彼がここまで落ちる事が今日の何処にあったというのだろう
彼が任務に出たのはいつものミッドガル内で、いつもと違う事などそう起こる訳もない

「レノ、俺今どんな顔してる?」
「・・・・見えねぇよ」
「・・・・そうだな」

俺の肩に押し付けていた頭を炯は擦りつける
前言撤回、ガキじゃないただの犬だ
その迷い犬は飼い主を見つけて甘えているに過ぎないのかもしれない
では、どこに迷ったというのだ

「炯、お前」
「何でもない、」

俺の言葉を遮って炯は声をあげた
それは消して強くもなく、大きい声を上げた訳でもない
静かで、凛として、俺の言葉を飲み込んだ

「何でもないんだ」

力任せに俺の肩にうずめていた顔を上げさせると、炯は途端に腕を振り回して暴れだした
なんだっつぅんだ、こんな天邪鬼な犬手懐けられるか!

「っ・・・・嫌だ、レノ、」
「・・・炯、」

彼の腕を捉えてその抵抗する手段を奪ってしまえば彼は大人しくなった
けれどその顔は俯いたまま俺の視界にはいつもの真っ直ぐな青色は見えない
それでも、顔を寄せて彼の唇を小さく吸う
炯は嫌がるでもなくただそれを受け入れる

「は、レノ、」
「嫌なら俺の舌でも噛み切れよ」

解放した腕はまた俺の体に回されて先までしていたように甘える様に俺に縋る
もう一度唇を合わせて今度は舌を口内に侵入させる
熱い口内を貪るように舐めまわして、その舌に絡みつくと彼の舌もそれに合わせて絡ませる
互いの息遣いしか聞こえない空間で二人だけが熱くなっていく感覚

その時、俺のズボンにパタリ、と暖かいものが零れたのを感じた

(そうか、コイツは、)

「レノ、シよう」

そのまま彼の首筋に舌を這わせて思い切り噛みついてやった


今はその涙に気付かない振りしてやるからいい声で鳴いてみせて?


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えーと、なんでロッドが落ちてるかは書くか考えたんですがやっぱり何でもいいです。
友人を殺す事になったトカそゆうどしようもなかった事で
で、泣くなよ、て約束してるからレノの前で泣く訳にいかない
でもレノといないとどうにかなっちゃいそう
そんなロッド。


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