俺だけを見ろ
フヒトにこの部屋に監禁されてもうどれ位がたったのだろうか。
時計も窓も無いこの部屋ではもう時間感覚が狂ってしまっている。
ただ、俺が目を覚ますと直ぐにフヒトがこの部屋にやってくる事だけは解った。
ただ解らない事は、なぜフヒトは俺を殺さないのか
それだけが俺の頭の中でずうっと引っ掛かっていた。
捕まったとしても普段幹部が出てくる事など無いのに。
そもそもこの施設は普段の収容所とは明らかに違う造りをしている。
助けが来ない事からしてもおそらくフヒトが管轄している隠れた拠点なのだろう。
それが余計に解らなくさせた。
どうして、
なぜ、
そんな疑問ばかりが浮んでは消えてゆく。
考えてもどうしようもない事だと知っていても時間ばかりが持て余される
この空間では気が付くと思考がそこへと向かっていってしまう。
扉から無機質な声が「ロック解除」と告げた。
ああ、また彼が来るのだ。
扉が開いて白い服の男が姿を現した。
「おはようございます、炯。よく眠れましたか」
俺の返事を期待してないのか、何も言わない俺を気にするでもなく
フヒトは俺に一歩一歩近付く。
「炯、元気が無いですね」
フヒトの腕が俺に伸ばされて髪を梳く。
「つ・・」
触れてくる腕から逃れようと体を後退させる。
その、腕が怖かった。
俺の体を殴りつけたその後で、優しく触れるその腕が。
「も・・嫌だ・・!アンタ何がしたいんだよ!」
腕を払い落として、フヒトを睨みつける。
「殺せよ!なんでタークスの俺を生かしてるんだ
食事も与えて、わざわざまともな部屋に俺を閉じ込めて!
まるで俺はお前の・・・・!!」
ペットみたいだ。と言おうとした口がそれを噤んだ。
彼に飼われていると認める事があまりにも屈辱的だったから。
強く噛締めた歯がギリ、と音を立てた。
「そうですね、炯が私だけを見てくれれば」
自嘲的に笑った顔が、ほんの少し悲しんでいるように見えて
黙り込んでしまう。
「淋しいですか?仲間に会えないのは」
深い青を宿した双眸をなぞる様に指が動いた。
「でもね、私もあなたを手放す事など出来ないんです」
フヒトは体を素早く俺に近づけると首筋に噛み付く。
「う・・・ああああああああ!」
皮膚を突き破って血が流れ出た
フヒトは溢れ出す血を舐め尽くす。傷口を舌が這いまわる感触が気持ち悪くて
身体が慄いた。
「い・・やぁ、やめっ・・ろっ!!」
「どうしてですか?こんなに甘いのに」
フヒトは口の端についた血を拭うと、楽しそうに口を歪めた。
「炯、私だけを見てください」
あなたの愛しい愛しい彼さえも忘れてしまえるほどの
恐怖と、悲しみを私にだけ向けてくれればいいのに。
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うちのフヒトは割と本気でロッドを好きだといいと思う。
でも根っからのサディストなので歪んでるといいよ。
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