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「炯、頼むから飲んでくれ」
「ぜってー、嫌だ」

そう言ってそっぽ向いた炯にツォンは溜め息を吐いた
時刻はもうすぐ日付が変ろうという深夜11時

『・・・・辛い』
『ロッド?』
『早く、来てよ』
『・・・・もう少し待っててくれ』

そんな身勝手な電話で呼び出されて、机の上の書類さえも投げ出して
飛んできたのは風邪をひいた恋人の為だという事実に正直、驚いた。
部下として相手するならば、体調管理を怠るなと咎めなければならないのだが
どうもそううまくはいかないらしい。
自分はこの年の離れた恋人に少々甘いらしいと、実感する。

「粉薬ぐらい飲めるだろう」
「後味悪いし、いらない」
「明日は休ませないぞ」
「寝てりゃ直る」

炯はすっかり不貞腐れてこっちを向こうともしない。
そもそも、粉薬にこんなにも手を焼く事になるとは予想もしなかった。
18にもなった男が『粉薬は不味いから飲めない』とは何事か。

「大体、俺は来てとはいったけど世話してとは言ってねぇもん」
「真っ赤な顔してフラフラしてたお前が偉そうに言えるのか?」
「大丈夫だっつーの」

強がりだけはこんな時も忘れない彼に感心しつつ呆れる。

「分かった。じゃあ如何したらいい?」

あ、漸く機嫌直ったらしい。

「手繋いで俺が眠るまでそこに居て」
「ああ」

手をとって子供っぽく笑った。
ずっとここに居て、と言わないのは私が仕事を抱えてるのを知って遠慮してるのか

熱いと感じる程の体温が握り締めた手を伝わる
本当は相当辛い筈なのに、粉薬ごときで意固地なって飲まないのかと思うと苦笑してしまう

「まるで子供の看病している気分だ」
「へへ、大人を困らすのはガキの特権でしょ」

その特権がいつまでも自分のものであればいい
このレジスタンスが精一杯の甘えを見せたあの電話

眠っている間に錠剤を買って来よう

ウトウトと閉じかけた目蓋に唇を落とす。
日付が変って、夜と共に二人の間の熱も深まっていった。

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ヘタレツォンと我侭女王様ロッドのCP
ここに完成。

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